沖縄県浦添市の嶺井第一病院で、脳梗塞や気管切開などで声を失った患者向けに、メガネ型AIデバイスを使った意思疎通支援システム「CommunicationBoard+AI」の実証が行われ、2026年5月29日から正式導入されたと、ITmedia AI+や東洋経済オンラインが報じた。開発したのは札幌のゲーム開発会社ロケットスタジオ。
従来、発話が困難な患者との会話では、看護スタッフがアクリル製の50音表を1文字ずつ示しながら患者の反応を待つ必要があり、短い訴えを聞き取るだけでも数分かかっていた。新システムはメガネ型デバイスの視界内に50音表とAIによる予測変換候補を表示し、患者が文字を選ぶと合成音声が代わりに発話する仕組みで、意思疎通にかかる時間を従来比60〜70%程度短縮できたという。
開発は2022年11月に着手され、プログラマーとディレクターの2人体制で3年半をかけて作り込まれた。50音表の配色や文字サイズ、入力ステップといったUI設計にはゲーム開発で培った知見が生かされており、マニュアルなしでも直感的に操作できる画面を目指したという。2026年1〜4月には延べ25人の患者が実証に参加した。
大規模言語モデルを使った医療AIというと診断支援や事務作業の効率化が話題になりがちだが、今回の事例は、声を失った患者の「話したい」という思いに応える、地道な現場発のAI活用として注目されている。
出典: ITmedia AI+



