元OpenAI最高技術責任者(CTO)のMira Murati氏が創業したThinking Machines Labは、オープンウェイトモデル「Inkling-Small」を公開しました。同社が2026年7月に公開した主力モデル「Inkling」(総パラメータ975億、アクティブ410億)の設計思想を引き継ぎつつ、総パラメータ2760億・アクティブ120億のMixture-of-Expertsアーキテクチャに圧縮したモデルで、約4分の1のサイズながらベンチマーク「Artificial Analysis Intelligence Index」でInklingとわずか1ポイント差の性能を達成したとしています。
Inkling-Smallは、事前学習データの構成見直しや学習レシピの改良に加え、Inkling自身を教師モデルとするオン・ポリシー蒸留、さらに2週間にわたるエージェント型コーディング向けの強化学習を経て仕上げられました。テキスト・画像・音声を横断した推論に対応し、最大100万トークンのコンテキストウィンドウや「思考の深さ」を調整できる可変推論も、上位モデルのInklingから引き継いでいます。ライセンスはApache 2.0で、モデルの全重みはHugging Face上で公開され、同社のファインチューニング基盤「Tinker」からも利用できます。
Thinking Machines Labは、単に汎用的な性能を競う一枚岩のモデルではなく、企業が自社データでTinker経由にファインチューニングすることで、特定業務においては汎用的なフロンティアモデルを上回る性能を引き出せる、という戦略を掲げています。今回の軽量版投入は、より低コスト・低遅延な推論が求められる制約の多いワークフロー向けの選択肢を広げるもので、Nvidiaの次世代GPU「Vera Rubin」の供給契約なども背景に、Mira Murati氏率いる同社の存在感が着実に増していることを示しています。



