Google DeepMindは8月21日、公式ブログでゲームを舞台にした自社のAI研究の15年間を振り返る記事を公開しました。2015年に「Nature」誌に掲載された、生のピクセル情報だけでAtari 2600の49種類のゲームを学習した「Deep Q-Network(DQN)」の論文を起点に、2016年に世界トップ棋士イ・セドル氏を破った「AlphaGo」、続く「AlphaGo Zero」「AlphaZero」、そして2019年にリアルタイム戦略ゲーム「StarCraft II」でグランドマスター相当の実力に達した「AlphaStar」まで、一連のマイルストーンをたどっています。
記事はこの流れの延長線上に、EVE Online開発元である「Fenris Creations」(韓国Pearl Abyss傘下から独立した旧CCP Games)との研究提携を位置づけています。Google DeepMindは同社に少数株主として出資しており、今回のブログ記事ではその研究計画の内容がより詳しく明らかにされました。計画は段階的に進められ、まずは実際のプレイヤーから切り離したオフライン版のEVE Online環境でAIエージェントを動かし、次にプレイヤーとAIエージェントが共存する「EVE Frontier」環境へと進め、十分な能力が確認できた段階で初めてライブのゲーム環境に触れる、という慎重な設計になっているとしています。
研究が注目するのは、長期的な計画立案・記憶の保持・継続的な学習といった能力です。EVE Onlineは20年近く運営が続く仮想経済を持ち、数千人規模のプレイヤーの意思決定によって環境そのものが絶えず変化し続けるという特徴があります。囲碁やStarCraft IIのような「解くべき対象」として最適化されるゲームとは異なり、EVE Onlineを、変化し続ける環境でAIがどう振る舞うかを観察するための「生きた実験場」として活用する狙いがあるとGoogle DeepMindは説明しています。初期の実験は戦闘よりも、採掘・製造・交易といった経済活動に焦点を当てる見通しです。



