オランダの半導体露光装置大手ASMLと台湾積体電路製造(TSMC)は9月7日、最先端の露光技術「High NA EUV」で使用するフォトマスクを、1980年代から業界標準となってきた6インチ角から、より大型の12インチ角へ移行するための共同の業界イニシアチブを発表しました。両社は2031年までに12インチマスクのパイロットラインを確立し、2033年までにはこの規格に対応した露光装置を先端ノードの量産に投入できる体制を整えることを目指すとしています。
High NA EUVは従来のEUV露光装置よりも高い解像度を実現する一方、1回に露光できる範囲(視野)が狭くなるという特性があります。このため、AIアクセラレータ向けの大型チップなど広い面積のダイを製造する際には、複数回の露光画像をつなぎ合わせる「スティッチング」という手法が必要になり、コストや歩留りの面で不利になるとされています。12インチへのマスクの大型化は、この視野の制約を緩和し、スティッチングに頼らずに大型ダイを製造できるようにすることを狙いとしています。
今回の取り組みにはサムスン電子も参加を表明しています。また半導体大手Intelのファウンドリー事業部門は、これとは別に3年以上前から独自に大型フォトマスクの開発に取り組んできたことを明らかにしており、業界全体でHigh NA EUVの実用化を巡る足並みが揃いつつある形です。TSMCは2030年からHigh NA EUVを先端ノードの量産に導入する計画を示しており、当面は従来の6インチマスクで運用しつつ、今回発表された12インチマスクへの移行を段階的に進めていくとみられます。
出典: ASML



