Ant International、Visa、Mastercardの3社は9月上旬、サンパウロでの発表を通じて、AIエージェントによる決済・商取引を横断的に認証する「Know-Your-Agent(KYA)」の相互運用フレームワークで連携すると明らかにしました。狙いは、あるAIショッピング・決済エージェントがいずれか1社のネットワークで本人確認を済ませていれば、他のカードネットワークやウォレット、エージェントプラットフォーム、マーケットプレイスでも改めて確認手続きを繰り返す必要がないようにすることです。
3社はこれまで、それぞれ独自のエージェント認証の仕組みを運用してきました。Visaの「Trusted Agent Protocol」は、プログラムへの登録と鍵の署名(RFC 9421)を通じて、正規の商取引エージェントを不正なボットと区別する仕組みです。Mastercardの「Verifiable Intent」は、決済クレデンシャルの発行者・利用者・エージェントの3者を鍵で紐付け、エージェントの行動が利用者本人の意思を反映していることを加盟店や発行会社が確認できるようにしています。Ant Internationalの「Agentic Mobile Protocol」は、モバイルウォレットや銀行アプリ、スーパーアプリ、ウェアラブル端末向けに設計されており、エージェントの身元・権限を認証する独自の「Know-Your-Agent」機能と、エージェントに与える自律性の度合いを制御する「Agent Trust Rating」を組み合わせています。今回の連携は、こうした3つの異なる仕組みを橋渡しし、互いの認証済みエージェントを認識し合えるようにするものです。
取り組みは、シンガポール金融管理局(MAS)が主導するプラットフォーム「BuildFin.ai」を通じて進められ、同局が策定した「Safeguards for Agentic Finance at Runtime」の枠組みを土台にしています。3社は、2030年までにAIエージェントが世界の消費者向け商取引の3兆〜5兆ドル規模を担うようになるとのマッキンゼーの試算を引用し、共通の信頼確保の仕組みがなければエージェント間の商取引がネットワークごとに分断されかねないとして、業界横断での標準づくりの必要性を強調しています。



