米ニューヨーク大学(NYU)の数学者Tristan Buckmaster氏とAnthropicの研究者Levent Alpöge氏は9月上旬、多孔質媒体方程式・2次元ブシネスク方程式・3次元非圧縮性オイラー方程式について、滑らかな外力を加えた場合に有限時間で解が爆発(特異点が生じる)することを示す証明のプレプリントを公開しました。両氏はAnthropicの「Claude」を含む複数のAIモデルを使って約1カ月かけて証明を練り上げ、数式処理支援システムLeanによる形式検証も行ったとしています。フィールズ賞受賞者のTerence Tao氏はこの成果を「注目すべき成果」と評価し、同じ手法をナビエ・ストークス方程式まで押し進める上で明確な障害は見当たらないとの見方を自身のブログで示しました。
ほぼ同じタイミングで、OpenAIは公式ブログで、GPT-6 Astraよりも高性能な未公開の次世代モデルを用いて、外力項を加えた「強制」ナビエ・ストークス方程式について、エネルギーが有限に保たれたまま滑らかな流体が有限時間で特異点(爆発)を生じることを示す解析的証明とLean形式化を得たと発表しました。ただし、これはクレイ数学研究所が懸賞金100万ドルを設定したミレニアム懸賞問題そのものの定式化とは異なる修正版の問題であり、OpenAIのこの証明自体はまだ一般に公開されておらず、第三者による検証も行われていない点には注意が必要です。
両者の発表を巡っては、功績を巡る対立も表面化しています。Buckmaster氏は公開した声明の中で、OpenAIから接触を受け、同社のモデルが強制ナビエ・ストークス方程式について約100ページの証明を既に得ていると伝えられ、Alpöge氏がAnthropic在籍であることを理由に共著者から外すよう求められたと明かしました。これに対しOpenAI側の研究者Sebastien Bubeck氏は、この主張を「事実に反し扇動的」だとして否定し、自社の取り組みは9月1日に独自に始まったものであり、Buckmaster氏の先行性を認める形での同時発表も申し出たと説明しています。真相は現時点で決着しておらず、AI活用による数学研究の急速な進展とともに、研究成果の帰属や検証のあり方が改めて課題として浮かび上がっています。
出典: OpenAI



