Anthropicの「Frontier Red Team」は、中国Zhipu AIが公開したオープンウェイトモデル「GLM-5.3」のサイバー攻撃能力を分析した研究結果を発表した。それによると、GLM-5.3は自律的にエンドツーエンドのエクスプロイト(攻撃コード)を開発する能力において、Anthropic自身の「Claude Mythos Preview」に匹敵する水準に達している一方、悪用を防ぐための安全対策はきわめて脆弱だという。
具体的には、410件のエクスプロイト開発課題からなる「ExploitBench」で、GLM-5.3は50件(12%)を解決し、Claude Mythos Previewの56件(14%)に迫る成績を見せた。Chrome V8エンジンの脆弱性を突く課題でも、両モデルはそれぞれ12%・14%の成功率を記録している。一方で安全対策のバイパス率には大きな差があり、単純な手口(偽の文脈を装う「口実」の提示)でGLM-5.3への攻撃成功率は64%、推論トークンを事前に埋め込む手法では92%に達し、安全対策を意図的に除去した「アブリテーション」版では100%に達した。これに対し、同じ条件下でClaudeモデルは一貫して0%を維持したという。
Anthropic自身も検証のため、約2200GPU時間・約4400ドルの計算コストをかけてGLM-5.3のアブリテーション版を作成し、拒否率を95%から3〜14%まで引き下げられることを確認した(手法に不慣れだったためで、効率化すれば約600GPU時間・1200ドル程度で済むという)。さらに、ある研究者が公開済みのChromeの脆弱性(CVE-2026-11645)をGLM-5.3-Flashで武器化した実例では、人間の作業時間はわずか20分、モデルの処理時間8時間、ZhipuのAPI利用料換算で20.40ドルという低コストで、ポインタ認証を回避するARM64向けの実働するエクスプロイトチェーンが完成したとしている。
Anthropicはこの結果を踏まえ、十分な能力を持つAIモデルに対する政府による独立した安全性評価の実施、オープンウェイトモデルの開発者による適切な安全対策の実装、サイバー防御に携わる専門家への最先端モデルのアクセス拡大という3点を提言している。



